クラウド・コンピューティング

文系でも分かるクラウド・コンピューティング (2) – クラウドのコンセプトを理解する

ー クラウド・コンピューティングを学ぶ前に

前回の記事ではクラウド・コンピューティングを使用する利点と、なぜ今ビジネスの場で盛んに利用されているのかを解説しました。今回の記事からはいよいよ非エンジニア系の方向けにクラウド・コンピューティングの詳細を順番に説明していきたいと思います。

まず、クラウド・コンピューティングは主に三つのタイプに分けられており、それぞれIaaS (イアーズ)PaaS (パーズ)SaaS (サーズ)と呼ばれています。いきなり訳の分からない単語が出てきて早速嫌気が差してきそうですが、実際はそこまで難しい話ではないのでもう少しお付き合いください。

なぜこの三つを初めに理解しておくべきかというと、これらはクラウド・サービスを使用する上での利用者の責任範囲や選択肢に関係してくるためです。特にエンジニアリングではなく、ビジネス用途を目的としてクラウドとは何かを学んでいるのであれば知っておくべき内容かと思います。

 





 

クラウド・コンピューティングには初心者向けから上級者向けまで数え切れないほどのサービスが存在し、クラウドを利用する上で利用者は自身の会社、もしくは個人の技術レベルなどに応じて最適なサービスを選ぶ必要があります。その中で上記のコンセプトを理解していないと、自身が求めているクラウド・サービスを見つけ出すのに時間が掛かってしまったり、何か問題が発生した際に責任が取れないといった事態が発生してしまうことがあるのです。

後ほどまた説明しますが、IaaSを利用する場合、一般的に利用者側は相応の技術と知識を保有していることを求められ、かつサービスの利用における責任範囲は大きくなる一方で、コストを抑えつつ、必要に応じて細かくサービスの設定を行うことができます。反対にSaaSを利用する場合には技術レベルはあまり関係がなく、責任範囲も限定的にはなりますが、コストは高くなりがちで細かい設定を行えないケースが多いです。

このようにクラウド・サービスのタイプによって利用者側が得られるメリットとデメリットが変わってくるため、非エンジニア系の方がビジネスの場などでクラウドを活用することを目的として学んでいる場合、まずは上記のタイプ別の違いを理解することが求められるのです。それでは次の項目から本題であるクラウド・コンピューティングとは何かを見ていきましょう。

 

 

 

ー クラウド・コンピューティングの定義

IaaS、PaaS、SaaSの話に進む前にそもそもクラウド・コンピューティングってなんなの?という人も多いかと思いますので、まずはクラウドの基本コンセプトについて確認していきたいと思います。以下、アメリカ国立標準技術研究所 (National Institute of Standards and Technology)による定義からの引用です。


“Cloud computing is a model for enabling ubiquitous, convenient, on-demand network access to a shared pool of configurable computing resources (e.g., networks, servers, storage, applications and services) that can be rapidly provisioned and released with minimal management effort or service provider interaction.”

和訳:クラウド・コンピューティングとは、最小限の管理労力、もしくは最小限に留めたサービス提供者とのやり取りによって速かにリソースの供給と解放をすることが可能かつ、(*ユーザーが)構成・設定することも可能なコンピュータ・リソース(ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、サービスなど)を保有した共用設備へと、ネットワークを通じてどの場所からでも手軽に必要に応じて利用することを可能にしたモデルのことである。

Retrieved from https://www.nist.gov/news-events/news/2011/10/final-version-nist-cloud-computing-definition-published
翻訳:https://zyzardx.com


なんだか小難しいことを書いてはいますが、要約してしまうと、ネットワークを通じてサービス提供者(Amazon, Microsoft, Google, etc.)が保有しているコンピュータ・リソースを利用することを全般的にクラウド・コンピューティングと言います。

 

それではここでもう少し理解を深めるために例を出して見てみましょう。皆さんもよくご存知のGmailやGoogle Driveですが、実はこれもSaaSにカテゴライズされるクラウド・コンピューティングです。これはなぜかと言うと、Googleが保有しているコンピュータ・リソース(ネットワークやストレージなど)を使用することによってユーザーに提供されているサービスだからです。

こうしたクラウド上のコンピュータ・リソースは他にも企業のウェブサイトや動画配信サービスなどにも活用されています。代表的な例はNetflixでしょう。同社は2018年6月現在、リソースの100%をAWSに依存していると宣言しており、Netflixのウェブサイトから動画配信のシステムに至るまで全てAmazonの保有するコンピュータ・リソースが使われています。

このようにクラウド上のコンピュータ・リソースはありとあらゆるサービスに応用可能なため、単にクラウド・サービスと言っても非常に広い範囲を指し示す言葉であり、クラウド・コンピューティングを理解するためにはもう少し細分化して理解する必要があるのです。それが初めの方で説明をしたIaaS、PaaS、SaaSとなります。

本当は今回まとめてIaaS、PaaS、SaaSについても解説しようと考えていたのですが、記事が想定よりも長くなってしまったので、次回の記事の中でこれらに関する説明を行いたいと思います。

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